コラム - 犬のおはなし -

2008年8月8日

20080808夏の行楽シーズン、ワンちゃん猫ちゃんを連れて海や山へ遊びに行く機会も多くなることでしょう。熱中症対策は万全ですか。

冷たい飲み水をたくさん用意したり、冷やしたタオルを用意したり・・・。

さてここでちょっと注意してもらいたいのですが、保冷剤として出回っているものの中に、食べてしまうと中毒を起こす成分(エチレングリコール)が含まれているものがあります。エチレングリコールは保冷剤がカチンカチンに固まらないような役目を持っているのですが、 誤って食べてしまうと大変なことになります。摂取して数時間のうちに元気喪失・運動失調・嘔吐がみられるようになり、さらに多飲多尿が続いた後徐々に血 尿・乏尿状態になり、重度の腎障害に陥ってしまいます。

 

治療しても助からないケースがほとんどで、助かっても腎臓に重い障害が残ってしまいます。摂取してから1~2時間以内ならば催吐処置・胃洗浄などの効果が期待できますが、それ以上経過している場合は点滴中心の治療になり、治癒率はだんだん低くなってしまいます。とにかくエチレングリコールは絶対に摂取させないことが大事です。お使いの保冷剤は動物がかじってしまっても大丈夫か否か、成分をしっかり確認しておきましょう。氷そのものを保冷剤として使うのが一番安全かもしれませんね。

2008年7月18日

20080718暑い季節がやってきました。夏場の代表的な救急疾患と言えば「熱射病」が挙げられます。日中の炎天下に長時間散歩をさせたり、部屋を閉め切ったまま長時間 留守番をさせたり、車の中に置きっ放しにしたり、このような時は熱射病になりやすいので注意が必要です。

 

ワンちゃんは人間と違って全身で汗をかくことが出来ません。汗をかく代わりに呼吸数を多くすることによって熱を放散するのですが、体温がもともと人間より高い上に小さい体は簡単に熱くなりやすく、放熱の効率も決していいとは言えません。ワンちゃんは、私たちが想像している以上に熱射病になりやすいのです(もちろん猫ちゃんにもウサギさんにもその他の小動物達にも同じことが言えます)。

ただし、熱射病になってしまった場合でも、早い段階で適切に処置をすることで、重症になるのを防ぐことができます。しかし 高体温の状態のまま長時間経過してしまった場合には、重症となり命を落とすことも稀ではありません。いざと言うときに慌てず適切な応急処置が早い段階で出来るように、ある程度の知識を持っておくことを普段から心がけておいて下さい。もちろん、熱射病は「なってから治療する病気」ではなく「ならないように予 防する病気」であることを十分認識しておかなければなりません。

2008年6月2日

20080602平成20年度の犬猫の不妊・去勢手術推進事業が始まります。

この事業は、飼育される見込みのない子犬や子猫を増や さないために、手術費用の一部を横浜市と(社)横浜市獣医師会が助成するものです。

健康な犬と猫(野良猫含む)あわせて2500頭を対象に、不妊・去勢手 術料金の一部(5000円)が補助されます。

つまり、横浜市獣医師会所属の動物病院で不妊・去勢手術を受けるとその場で支払う金額から5000円が割引かれるということです。

区役所生活衛生課窓口で6月2日(月)から申し込み受け付けが始まっていますので、手術をお考えの方はこの機会をお見逃しなく。

 

①年齢20歳以上の横浜市民が手術費用の助成を希望する犬又は猫(ノラ猫含む)であること

②手術実施時に、生後6ヶ月以上で健康であること

③犬は登録及び平成20年度狂犬病予防注射が済んでいること(未登録、未済の場合、対象外)などが

対象条件となりますのでご注意下さい。

 

また、申し込み時には運転免許証や健康保険証などの住所入りの公的身分証明書が必要です。

詳しくは当院スタッフにお尋ね下さい。

2008年2月29日

20080229犬や猫における腸内寄生虫の代表的なものに「回虫」「鉤虫」「条虫」などがあります(写真は犬回虫卵)。いずれも動物の体に少なからず悪影響を及ぼします。特に成長期に濃厚感染を起こすと場合によっては命取りにもなりかねません。またこれらの寄生虫はいろいろな形で人間にも感染することがあり、むしろそのことに注意を払うべきかもしれませんが・・・。

 

ここで問題なのは、動物が寄生虫に感染しているか否かを検査する一般的な方法としての検便(直接法・浮遊 法・沈殿法・テープ法など)の精度です。残念ながら検出率は高いとは言えず、虫卵が見つからなかったからといってその結果だけをみて駆虫の必要なしと判断するのはとても危険です。また、検査精度の問題だけでなく、もし寄生虫に感染してしまったとしても通常の検査ではどうしても見つけられない期間(プレパテントピリオド)というものもあり、たまたまこの期間に検査を受けた場合は当然陰性と判断されてしまいます。この誤判定を防ぐ為には間隔をあけて数回の検便を繰り返すしかありませんが、それでも100%安心出来る訳ではないとしたら一体どうしたらよいのでしょうか。

 

そこで提案されたのが「定期的に駆虫する」 という考え方です。当院では、米国疾病管理予防センター・米国獣医寄生虫学会・英国小動物獣医師会が提案している駆虫ガイドラインに基づき、定期駆虫プログラムを推奨しています。詳しくは当院スタッフにお気軽におたずね下さい。言い忘れましたが、精度が高くないといっても検便そのものが必要であることに変わりはありません。目的の寄生虫の駆虫効果の確認のためはもちろんのこと、目的以外の寄生虫が偶然見つかることもありますし、その他腸内細菌の様子など、検便で得られる情報はとても貴重なのです。

2008年1月21日

20080121緑内障は、眼内圧が上昇することにより一時的もしくは永久的に視神経が障害され、その結果として視覚を失う眼疾患です。最初のうちは羞明や結膜の充血などといった他の眼疾患でもよくみられる症状とあまり変わりがないので、家でついつい様子をみてしまうこともあるのですが、これはとても危険です。眼内圧の上昇が持続すると、激しい疼痛・赤目・瞳孔散大・角膜混濁を示すようになります。そして早い場合には2日くらいで失明してしまうことも・・・。このように経過がとても早いので、緑内障は診断した時点で残念ながら既に視覚を失ってしまっているケースもあります。

緑内障を早期に診断して視覚を維持するためには、家庭でのチェックが大事です。少しでも眼に異常を感じたら、様子をみずにすぐ病院へ連れて行くように心がけましょう。