コラム - 犬のおはなし -
犬が感じる痛みの程度を尾の振り方などで判断するというユニークな研究発表が11月19日大阪でありました。
研究者らでつくる「動物のいたみ研究会」がまとめたもので、メンバーの宮崎大学農学部の永延清和助教授らによると、「痛みがない」のがレベル0、
「ケージから出ようとしない、尾の振り方が弱い」がレベル1、
「食欲低下、痛いところをかばう」がレベル2、
「体が震えている、背中を丸めている」がレベル3、
「持続的に鳴く、眠れない」がレベル4。
犬の痛みに関連する動きを42項目リストアップし、痛みのないレベル0から最も強いレベル4に分類した結果だそうです。動物の動きから痛みの程度を知ることで適切な鎮痛処置が出来るようになるのですから、これはすごく喜ばしいことですよね。
11歳のゴールデンレトリーバーの腹腔内の腫瘍を摘出しました。もともとは成長期に降りてこなかった睾丸が腹腔内に留まったまま腫瘍化してしまったのです。もう片方の睾丸はちゃんとした位置に降りていましたが、こちらは逆に萎縮して睾丸としての役目を全く果たしていないようでした。
写真で見れば一目瞭然ですが、左側の腫瘍化した方の睾丸は径15cmくらいに巨大化して腹腔内で様々な悪さをしていたのです。このように睾丸が外に降りてこない場合は遺伝的に問題を抱えていることが多く、まず繁殖に用いるべきではないことを認識しておく必要があります。
また、年齢を重ねる前に、早い段階で去勢手術を受けることをおすすめします。元気がなく調子が悪かったこのワンちゃんも術後はすっかり元気になってくれました。
ホテル預かりや入院でお泊りする子たちの管理で一番気を使うことは、どうしたらストレスを与えないで済むか、何と言ってもこれに尽きると思います。
健康状態良好のホテル預かりの子たちはなるべく時間を見つけては遊んであげるようにしてます。
もちろん人見知りの激しい子は出来るだけ静かな落ち着いた環境で過ごせるように工夫します。でも手術後ケージレストなどで安静を保たねばならない子たちは痛みがひいた後はもう退屈で退屈で仕方がないのですが、 思いっきり遊ばせてあげる訳にもいかず、本当に可哀相なのです。
せめてしょっちゅう声をかけてあげたり、出来るだけなでてあげたり、気分が落ち込まないように気を使ってあげる必要があります。皆元気で帰っていってもらいたいから、私たちも一生懸命かつ楽しみながら管理させて貰ってます。