院長のひとりごと

2015年2月2日

犬の認知症について

動物の寿命は昔と比べると随分と伸びてきました。

 

飼育管理方法や飼育環境が良くなったのはもちろんのこと

 

獣医療の進歩も長寿に貢献しているものと思われます。

 

しかしながら

 

長寿になるにともない

 

それまではあまり見られなかったような問題が起こるようになってきました。

 

そのひとつが「認知症」です。

 

歳をとると目が見えにくくなったり

 

耳が聞こえにくくなったりすることはありますが

 

それは老化による自然現象ですから

 

そのこと自体はあまり気に病む必要はありません。

 

問題なのは

 

感情表現がなくなってしまったり

 

今まで出来ていたことが出来なくなったり

 

とんちんかんな行動をとったり

 

明らかに脳の障害によると思われる症状が見られるようになること。

 

「認知症」に当てはまる症状を列挙してみますと・・・

 

・無目的に前へ前へと歩き続ける(いわゆる徘徊)

・吠え続ける(ヨシヨシしてもやまない、夜中も関係なし)

・異常な食欲

・昼夜逆転

・飼主を認識出来ない、理解力の低下

・いろいろなことへの関心低下

・目に余る排泄の失敗

 

まだまだこれ以外にもありますが

 

おおむね共通して上記のような症状のうち

 

いくつかが継続して見られた場合は認知症の疑いが強いとみるべきでしょう。

 

犬の認知症の原因はまだまだハッキリとはわかっていませんが

 

人におけるアルツハイマー型認知症と同じような

 

脳の実質的な変化が見られることが分かっています(人の認知症は

 

アルツハイマー型認知症の他に、レヴィ小体型認知症、

 

ピック病(前頭側頭型認知症)など、いろいろなタイプのものがあります)。

 

アルツハイマー型認知症を引き起こす原因は

 

脳内における過剰な酸化だと言われています。

 

酸化の副産物として発生した異常タンパクであるアミロイドが脳内に蓄積し

 

本症を発症するというのがそのメカニズムです。

 

また

 

特定の犬種に認知症が多くみられることから

 

遺伝的な素因についても考慮する必要があるのかもしれません。

 

ここで言う特定の犬種とは

 

柴犬や柴犬の雑種など主に日本犬のことを指しています。

 

日本犬は認知症になりやすい!?

 

なんかイヤな話ですよね。

 

でも、事実は事実として受け止めないといけません。

 

日本犬に認知症が多くみられる理由を

 

遺伝的な素因以外で考えてみると

 

かつてのごはん、人間の余りもの(煮干しなど魚類が多かった)を

 

食べて生きていた時代からドッグフードに切り替わったこと

 

いわゆる栄養の問題も原因を考える上で重要かもしれません。

 

昔の日本の犬たちは魚類に含まれるEPAやDHAなどの不飽和脂肪酸を

 

当たり前のようにきちんと摂取していたわけです。

 

それがドッグフード(主原料は肉類)に替わり始めたあたりから

 

肉主体の食事になり

 

それにともない認知症もみられるようになってきたのは興味深いことです。

 

つまり

 

EPAやDHAなどの不飽和脂肪酸の摂取不足が認知症の原因かも!?

 

う~ん

 

確かに

 

以前のドッグフードは

 

EPAやDHAが入っていないものが多かったですからねぇ。

 

最近のドッグフードはほぼすべてにこれらが添加されています。

 

では、それで認知症になる犬が減ったのか、というと

 

実はそんなことはないんですね。

 

ということは

 

不飽和脂肪酸以外の問題も複雑に絡んでいるということになるわけで。。。 ( ̄へ ̄|||) ウーム

 

あ、もちろんEPAやDHAをきちんと摂取することはとても大事ですよ。

 

不足すれば認知症になるリスクは上がっちゃいますから。

 

認知症は残念ながら治癒できる病気ではありませんが

 

栄養や薬やサプリメントでQOLを上げながら

 

進行を遅らせてあげることは十分可能だと思われます。

 

犬の認知症が人のアルツハイマー型認知症と同じような感じだというところに

 

治療のヒントがありそうです。

 

つまり、脳内における過剰な酸化をいかに防ぐか、ということですね。

 

ま、言うのは簡単ですが (^_^;)

 

当院では

 

身体に優しい漢方やホモトキシコロジーの薬

 

フェルガードなどのサプリメントを用いて良い結果が出ております。

 

・・・・・・・・・・

 

犬の認知症の治療は

 

こうすればイイという決まったものはなく

 

まだまだ手探り状態だというのが本当のところです。

 

当然ながら

 

飼育環境を含めたその子その子に合わせた処方が必要です。

 

もちろんストレスは大敵ですから

 

そのあたりは十分な配慮が必要でしょうし環境整備は欠かせません。

 

何より大事なのは

 

家族全員共通理解のもとで介護や治療をする、ということでしょうか。

 

自分の犬が認知症かも知れない、少しでもそう感じたなら

 

早い段階で主治医に相談されるべきでしょう。

 

症状がひどくなってからでは介護も治療も困難ですし

 

犬もご家族も双方が疲れ切ってしまうのはとても不幸なことですから。

 

 

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