コラム
2006年8月9日
赤い色の尿が出る、という主訴でウサギさんが診察に訪れました。 一口に赤色尿と言っても、本当の血尿(例えば膀胱炎や尿道炎、尿石症など)なのか、食事由来もしくはストレスによる赤色尿なのか、 はたまた卵巣子宮疾患なのか、あるいはこれらが同時に発生しているのかをしっかり鑑別する必要があります。 この子の場合、血液検査・尿検査・レントゲン検査・超音波検査などにより、子宮に異常があることが判明したため、 その日のうちに卵巣子宮全摘出手術を実施しました。かなり変形腫大した子宮は、病理検査の結果「平滑筋肉腫」と判明。 転移することは比較的まれであるとはいえ間違いなく悪性腫瘍。 子宮内膜増殖症も併発しており、血尿と思われたものは子宮からの出血だったことがわかりました。 手術でおなかがスッキリしたこのウサギさんは、10日後の抜糸時にはすっかり元気を取り戻していました。 3~4歳以上の雌のウサギさんは子宮疾患(特に腫瘍)に罹患する率が残念ながら結構高いように思われます。 特に腫瘍の中でも多くみられる「子宮腺癌」は、肺や肝臓および骨に転移してしまうこともあり、手術しても間に合わない、なんてことも・・・。 お産をさせる予定がないのなら、病気になってしまってからリスクを冒した手術をするより、 若くて元気なうちに「不妊手術」を受けておくことをおすすめします。