コラム

2008年9月30日

20080930数日前から食欲がなく元気もないというウサギさんが来院しました。

聴診で胃腸の蠕動音がほとんど聞こえません。触診では胃の中にかなりの内容物が存在しているのがわかりました。レントゲンを撮ってみると食帯を起こして膨大した胃が認められました。逆に盲腸内には内容物があまり見られません。

 

ウサギの消化器疾患、特に胃食帯は比較的よくみられる疾患です。通常は血液検査で脱水傾向以外大きな問題が見られないことが多く、輸液を主体に、胃腸運動を活性化させる 薬(メトクロプラミドやモサプリド)、食欲を増進させる薬(シプロヘプタジン)、H2ブロッカーなどを使って治療していきます。状況によりこれに流動食の強制給餌などを組み合わせていくこともあります。胃内容物が動き始め、排便量が増えればOKです。ところが、このウサギさんは内科治療に全く反応せず、胃内容物が頑として動かなかったのです。こういったケースでは胃内容物のほとんどが毛球であることが多く、胃切開手術が必要になります。

手術で大量の毛球を取り出したこのウサギさんはすっかり元気になりました。