コラム

2016年3月7日

大門ムウ 尿管結石

何となく元気食欲が低下気味のウサギさんが来院しました。

血液検査で腎臓の数値が少し上昇しています。レントゲン検査の結

果、右の尿管に径約2mmの結石があることがわかりました。右の腎臓

は少し腫れています。

 

 

 

結石が小さいこと、腎臓へのダメージがそれほど大きくないこと、一般状態が深刻ではないこと、

などを考慮して、輸液による尿量増量で結石を移動させることを目的とした治療を開始しました。

ホモトキシコロジー製剤による疼痛の緩和および腎臓の保護も合わせて行いました。2週間ごとの血

液検査およびレントゲン検査で経過を追ったところ、結石は少しずつ移動し、8週目で完全に消失

(体外へ排泄)してくれました。

 

「ウサギの尿管結石 その1」でお話しさせていただいたウサギさんの場合は、結石が径約7mmもあ

り移動してくれる可能性が低かったこと、急性の腎後性腎不全に陥っていたこと、一般状態が悪

かったこと、などを考慮して、リスクは承知で緊急手術に踏み切らねばなりませんでしたが、今回

のウサギさんの場合は上記のような治療を試みる時間的余裕があったことも幸いしたようです。

 

ただし、どちらのケースも再発の可能性を十分考えておかなければなりません。「ウサギの尿管結

石 その1」での話の繰り返しになりますが、ウサギさんのカルシウム代謝は犬や猫と違って特異的

です。口から入ったカルシウムは消化管から無制限に吸収され、余った血清カルシウムは胆汁中に

排泄されずに、ほとんどが尿中に排泄されます。そのためにカルシウム尿結石は残念ながら比較的

よくみられる病気なのです。もちろん結石が出来やすい・出来にくいなどの個体差もあるでしょう

が、一度尿結石が出来てしまったウサギさんは、その後の食事内容には十分気を配る必要がありま

す。

 

ペレットはチモシー100%のものを選ぶ、牧草の比率を多くする、生野菜では大根の葉などのカルシ

ウム含有量の多いものを与えない、おやつの成分を吟味して少しでも疑いのあるものは与えない、

などの注意が必要です。