コラム

2006年8月16日

20060816[1]マウスの皮膚の細胞から、様々な臓器や組織に育つ能力を秘めた「万能細胞」を作り出すことに、 京都大学再生医科学研究所が世界で初めて成功しました。 ES細胞(胚性幹細胞)に似た性質を持つ、この万能細胞を人間や他の動物でも作ることが出来れば、 患者と同じ遺伝子を持つ臓器が再生でき、拒絶反応のない移植医療が実現可能となります。 山中伸弥教授と高橋和利特任助手により成功したこの実験は、米科学誌「セル」電子版に掲載されました。 この万能細胞はES細胞に近い能力があるとして「誘導性多能性幹細胞(iPS細胞)」と命名されました。 写真はマウスの皮膚細胞から作成したiPS細胞の顕微鏡写真。島状の塊の中にiPS細胞が含まれています。 ES細胞は、受精卵や卵子を材料にして作成されるものであり、倫理的に問題があるとの指摘が根強いが、 iPS細胞は生殖細胞を使わずに作成できるので、そういった問題点を一気に解決してくれる夢のような研究と言えるでしょう。