コラム

2007年3月3日

20070303脾臓の腫瘍は高齢の犬で比較的よく見られます。特にこれといった症状がないことが多く、レントゲン検査や超音波検査でたまたま発見されるまで全く気がつか ないこともあります。しかしながら、脾臓の腫瘍は良性・悪性に関わらず組織自体がもろくなっているので、その部分が破裂して腹腔内出血を起こし、ショック 状態に陥ってしまう危険があり、緊急疾患として搬入されるケースも少なくありません。当然その場合は緊急手術で脾臓を摘出しなければなりません。出血量に よっては輸血も必要になるでしょう。ただし、脾臓の腫瘍は見た目が悪性っぽく見えても病理組織検査で良性と判定されることも多く、その場合の予後は良いで しょう(写真のワンちゃんの脾臓腫瘍は良性でした)。逆に小さい腫瘍でも「血管肉腫」のような悪性腫瘍の場合は、手術後に一時的に元気になっても、肝臓や 心臓に転移を起こす可能性が高く、残念ながら予後は非常に悪いものとなります。いずれにしても早期発見・早期治療が必要なことは間違いありません。高齢の ワンちゃんは年に1~2回のドック検査を受けることをおすすめします。