コラム
2007年1月28日
左眼の開きが悪く、眼球が引っ込んだ感じで瞬膜が突出し、下まぶたがやや下垂していました。また、右眼に比べると瞳孔のサイズが小さくなっていました。いろいろ検査した結果、この子は眼そのものの病気ではなく、ホルネル症候群という神経の病気であることが判明しました。
ホルネル症候群とは、眼およびその周辺への交感神経支配が消失(マヒ)することによって起こる障害のことです。
交感神経支配は、①視床下部から脊髄へ[中枢]②脊髄から頭頚部神経節へ[節前]③頭頚部神経節から眼とその周囲へ[節後]、といくつかのステップを踏んで神経支配をしています。
この交感神経支配のどの部位に病変が存在しても症状は現れますが、
①の[中枢]に病変がある場合(1次ホルネル症候群)は、脳血栓・脊髄疾患・腫瘍・炎症などが原因として考えられます。
②の[節前]に病変がある場合(2次ホルネル症候群)は、胸髄~頚部の内臓疾患、肺炎、リンパ腫などが原因として考えられます。
③の[節後]に病変がある場合(3次ホルネル症候群)は、中耳炎・眼窩腫瘍や膿瘍などの球後病変が原因として考えられます。
いずれにしても、根底にある疾患をしっかり治療すれば、いわゆる「変な顔つき」は元に戻ってくるはずですが、かなり時間がかかることもあるので、根気よく治療を続けることが大切です。