コラム

2009年6月13日

20090613体中のリンパ節が腫れている犬が来院しました。

下顎のリンパ節の針生検で写真のような細胞が採取され、この子は「多中心型リンパ腫」と診断されました。治療のこと以外で飼主さんからよく質問されるのは、「リンパ腫」と「リンパ性白血病」の違いです。

 

確かにどちらもリンパ球増殖性疾患であることに変わりはありませんが、白血病は骨髄原発の血液細胞の腫瘍性増殖であり、骨髄を主な増殖の場とするのに対して、リンパ腫はリンパ系細胞の骨髄以外の組織(例えばリンパ器官など)を原発とする結節性、浸潤性増殖疾患である点が異なります。全身への影響や治療への反応も異なります。いずれにしても化学療法剤が治療の主体となりますが、残念ながら完治に至ることはあまり期待できません。ただし、治療することで生活の質を向上させ、寛解状態を得ることの出来る相手であり、他のガンと比較して治療する価値は十分にあります。

 

何もしないであきらめるには本当にもったいないガンと言えるでしょう。ただし、治療にあたっては飼主さん と獣医師が何度も相談して双方がしっかり理解しあった上で行なわれなければなりません。