コラム

2007年9月5日

20070905ワンちゃんが誤って異物を飲み込んでしまう事故が起こったときの対処の仕方はいろいろありますが、強制的に吐かさせてよいケース、内視鏡を用いて取り出さねばならないケース、胃腸切開手術をして取り出さねばならないケースなど、何を飲み込んでしまったかによって選択する方法は大きく変わってきます。今回は薬を使って強制的に吐かさせる方法について述べてみます。

尖っているものや食道粘膜に強い刺激を与えてしまうものは吐かさせるわけにはいきませんが、布切れやビニール、あまり大きくないプラスチック、消しゴム、桃や梅干の種などは催吐剤を使うとうまく吐かさせることが出来ます。これらの異物はレントゲンに写りにくいので、飲んだことがわからないままだと後で腸閉塞を起こすこともあって大変危険です。

 

また別の目的物を吐かさせる処置時に一緒に出てきてビックリすることもあります。催吐剤としては、当院では小児用吐根シロップを好んで用いています。甘くておいしく、胃荒れを起こすことが少なく、気持ち悪い感じがあとをひかずに済むからです。他の催吐剤としては、水で1:1に薄めた過酸化水素や微温湯で溶かした食塩を胃チューブで強制投与する方法やトラネキサム酸の静脈注射などがあります。猫では、麻酔薬として用いる塩酸メデトミジンの筋肉注射で嘔吐を誘発させることが出来ます。いずれにしても誤飲させないような環境作りが重要なことは言うまでもありません。