コラム 2010年03月 の記事
ウサギ蟯虫は5~10ミリくらいの半透明の細長い虫です。たくさん寄生していても特に症状が現れないので、便の中に虫が出てくるまで寄生に気づかないことがあります。普通の検便では検出されにくいので、蟯虫を疑う時は通常の検査だけでなく特別な検査が必要になり ます。特別な検査といっても、何も難しい検査ではありません。肛門にセロテープを貼って採材したものをスライドグラスに貼り直して、顕微鏡で虫卵を確認すればOKです。ウサギ蟯虫の寄生部位は盲腸や大腸。これらの虫は肛門から出てきて肛門周囲の皮膚に産卵するので、それをセロテープで回収して確認するのです(写真)。
産卵は昼間(夜行性の動物が本来眠っている時間帯)に行なわれるので、昼~夕方の間に採材すると見つけやすいでしょう。フェンベンダゾールや イベルメクチン、ドラメクチンなどが駆虫薬として用いられますが、食糞行動で再感染を繰り返すので、場合によっては複数回の投薬が必要になります。
排尿姿勢はとるが、排尿がほとんど見られないというウサギが来院。
レントゲン検査で尿道に大きな結石が詰まっていることが確認されました(写真)。手術で取り出したのはウサギに最も多い炭酸カルシウム結石。ウサギではカルシウムの排泄のほとんが尿から行なわれます。犬猫ではカルシウムの尿中への排泄が2%以下であるのに対してウサギではそれが45~60%にも達するそうです。
つまり、ウサギは常にカルシウム系の結石が出来やすい状況にあるということです。 カルシウム系の結晶には尿酸性化剤は効果がありませんから、出来てしまった結石に対しては、外科的な処置しか選択の余地がありません。結石が出来ないような予防が大切だということですね。予防的には、低カルシウムのチモシー100%フードに切り替えたり、飲水量を増やしたりすることが大切です。飲水量を増やすといっても、水だけをたくさん飲んではくれませんから、生野菜を少し多めに与えるなどで対処すればいいでしょう。ただ、この場合も、大根の葉・カブの 葉・小松菜・モロヘイヤなど、カルシウム含有量の高い野菜は与えないような注意が必要ですよ。