コラム 2009年11月 の記事
食欲・元気が全くなくなってしまったウサギさんが来院しました。
血液検査で腎臓の数値が大変なことになっています。レントゲン検査の結果、右の尿管に径7mmもある大きな結石が詰まっていることがわかりました。右の腎臓はかなり腫れてしまっています。
このウサギさんは急性の腎後性腎不全に陥っていたので した。尿管から結石を取り出す緊急手術を行い、何とか事無きを得ましたが、再発の可能性も十分考えておかなければなりません。ウサギさんのカルシウム代謝は犬や猫と違って、特異的です。口から入ったカルシウムは消化管から無制限に吸収され、余った血清カルシウムは胆汁中に排泄されずに、ほとんどが尿中に排泄されます。そのためにカルシウム尿結石は残念ながら比較的よくみられる病気なのです。もちろん結石が出来やすい・出来にくいなどの個体差もあるでしょうが、一度尿結石が出来てしまったウサギさんは、その後の食事内容には十分気を配る必要があります。
ペレットはチモシー100%のものを選ぶ、牧草の比率を多くする、生野菜では大根の葉などのカルシウム含有量の多いものを与えない、おやつの成分を吟味して少しでも疑いのあるものは与えない、などの注意が必要です。
時々悲鳴をあげるというチワワが来院しました。食欲・元気もいつもよりは落ちているようです。
嘔吐がみられたので気になって来院されたとのこと。血液検査では特に異常値がみられなかったのですが、レントゲン検査で小腸全体にガス像がみられ、イレウスの疑いがあったので、超音波検査で確認したところ、小腸に 異物らしきものが存在しているのがわかり、さっそく開腹手術を実施しました。手術で取り出したものは「プラスチックの☆型もの」でした。子供さんのおもちゃから取れてしまったもののようです。鋭く尖っていて、小腸を今にも突き破りそうな状態でした。本人は相当痛かったことでしょうね。本当に危ういところでした。
例えこんな小さなものでも誤食により大変なことになってしまうということを十分認識して下さい。室内でも散歩中でも、異物を口にしないようしっかり管理してあげて下さいね。
米アイオワ州で新型の豚インフルエンザ(H1N1型)に感染した飼い猫が見つかったそうです。
4日にアメリカ獣医学協会から発表がありました。このウイル スは、これまでに豚・鳥・フェレットから検出されていますが、猫から検出されたのは世界初とのこと。この猫は13歳。3人家族の飼主のうち2人が新型インフルエンザにかかっていて、どうもその人たちから感染したのではないかと考えられています。元気も食欲もなくなって、一時呼吸困難な状態に陥ったようですが、アイオワ州立大学獣医学部で治療を受け、すでに回復したとのことです。もちろん飼主の方々も回復されています。それにしてもインフルエンザウイルスは怖いですね。
そのうち「犬にも感染が見つかる」なんてこともあるのでしょうか