コラム 2009年06月 の記事
近年さまざまな研究により、針灸による治療の効果が証明されてきています。動物では特に椎間板ヘルニアや関節炎、骨折や捻挫の後遺症などの筋・骨格系疾患や神経疾患による麻痺や疼痛の治療に針灸治療が取り入れられています。
針灸だけでなく、同じ目的でレーザーを用いたツボを刺激する治療も行なわれています。また、レーザー光には炎症を抑える力と痛みを取り除く力、血行を良くする力、傷口を早く治す力があることが実証されていますから、患部に直接照射することで疼痛緩和を促し、口内炎、外耳道炎、火傷、潰瘍その他の皮膚の創傷治療にも効果が期待できます。 何より動物に苦痛を与えない治療が出来るという点が優れています。
ただし、レーザー光はあらゆる疾患を改善する魔法の光というわけではありませんから、適応症か否かをしっかり判断する必要はあります。やみくもにレーザー光を照射しても良い結果に結びつかない場合もあるからです。レーザー治療に関するお問い合わせは当院受付までお寄せ下さい。
下顎のリンパ節の針生検で写真のような細胞が採取され、この子は「多中心型リンパ腫」と診断されました。治療のこと以外で飼主さんからよく質問されるのは、「リンパ腫」と「リンパ性白血病」の違いです。
確かにどちらもリンパ球増殖性疾患であることに変わりはありませんが、白血病は骨髄原発の血液細胞の腫瘍性増殖であり、骨髄を主な増殖の場とするのに対して、リンパ腫はリンパ系細胞の骨髄以外の組織(例えばリンパ器官など)を原発とする結節性、浸潤性増殖疾患である点が異なります。全身への影響や治療への反応も異なります。いずれにしても化学療法剤が治療の主体となりますが、残念ながら完治に至ることはあまり期待できません。ただし、治療することで生活の質を向上させ、寛解状態を得ることの出来る相手であり、他のガンと比較して治療する価値は十分にあります。
何もしないであきらめるには本当にもったいないガンと言えるでしょう。ただし、治療にあたっては飼主さん と獣医師が何度も相談して双方がしっかり理解しあった上で行なわれなければなりません。