コラム 2009年05月 の記事
フィラリア予防のシーズンがやってまいりました。今年もまたしっかり予防していきましょうね。当院ではここ数年、フィラリアに感染しているワンちゃんをみるケースが本当に少なくなってきましたが、まだまだフィラリアそのものが撲滅されたわけではありませんから、ひと夏予防せずに過ごすなんて怖いことは絶対にしないで下さいね。
もしかしたら、皆さんの中には「ちょっとくらい予防しなくたって大丈夫なのでは?」と思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、 フィラリアはそのちょっとした油断が大敵なのです。写真はたまたま昨年の夏にフィラリア予防を忘れてしまったというワンちゃんの血液中に検出されたミクロフィラリア(フィラリアの子虫)です。当然ながら成虫抗原検査も陽性でした。毎年欠かさず予防してきたのに、ひとシーズン抜けただけでフィラリアに感染してしまったのです。
治療で何とかなるとはいうものの、場合によっては死に至ることもある怖い寄生虫フィラリア! 「治療」ではなく「予防」で対処するに越したことはありません。まだ予防関係がお済みでない方は早めに病院へ行かれることをおススメいたします。
「当院からのお知らせ」のページで、このことに関してもう少し詳しく載せています(動画もあります)ので、是非目を通しておいて下さいね。
タバコを5本飲んでしまったラブラドールの飼主さんから電話がありました。
気がついたのは3~4時間ほど経過してしまってからとのこと。ニコチンによる中毒が心配です。飲み込んですぐならば強制的に吐かさせることも有効ですが、ここまで時間が経過してしまうと、そういった処置はもう無意味なので・・・。
犬がニコチンを大量に摂取すると小一時間くらいの間に「興奮」「ふるえ」「流涎」「嘔吐」「下痢」「幻覚症状」などがみられるようになり、ひどい場合は「ケイレン」が起こり、「心停止」してしまうことも。ただし、通常はタバコを飲んでしまっても、胃に感じる強い刺激やニコチンによる脳の嘔吐中枢への指令によ り大部分を吐いてしまうので、大きな問題に発展することは少ないようです。今回のワンちゃんのケースはそういった症状が一切なく、すでに3~4時間経過しているのでとりあえずは一安心といったところです。
犬が中毒を起こすのは、おおよそ体重1kgあたり11mgのニコチンを摂取した時と言われています。今回のタバコは1本あたり約0.4mgのニコチンが含まれていたので、計算すると体重26kgのラブラドールの中毒量は。。。5本くらいでは特に問題が起こらないことになりますね(^_^)v 何はともあれ無事で良かったですが、まずは誤飲されないように気をつけないといけません。
因みに人間の赤ちゃんでは、ニコチン10~20mgが致死量になりますので本当に注意して下さいね。
突然、首が右に傾いてしまい、真っ直ぐに立っていられなくなってしまった、という13歳のワンちゃんが来院しました。
よくみると、右斜頚・全身の振るえ・ 旋回運動・眼球振盪などがみられます。(突発性)前庭症候群と診断し、抗生物質や副腎皮質ホルモン剤を主体とした治療を開始したところ、斜頚はまだ少し残るものの、その他の状態はだいぶ良くなりました。前庭症候群とは、内耳の中の前庭と呼ばれる部分が何らかの炎症を起こしたり、脳の外傷・血管障害・腫瘍などによって突然平衡感覚を失ってしまう病気です。
平衡の維持、頭部の位置決めおよび眼筋の調整に関する筋群の制御が出来ないため、上記のような運動失調などの症状がみられます。今回の場合は症状が落ち着いてくれましたが、原因が中枢性の場合には残念ながら予後は不良となるケースもあります。