コラム 2009年03月 の記事

2009年3月24日

20090324太っている動物の開腹手術はとてもやりにくいものです。

切皮してから、ぶ厚い皮下脂肪をかき分けていくのですが、なかなか腹筋・腹膜に到達しません。写真は肥満のネコちゃんの開腹手術をしているところですが、皮下脂肪が3cmもあるので術野を確保するためには皮膚をかなり大きく切開しなければなりません。 やっと腹筋・腹膜に達しても、そこを切開した後、今度は大量の腹腔内脂肪と格闘しなければなりません。普通の体型のネコちゃんなら何でもないような簡単な手術も、肥満のネコちゃんとなると途端にやりにくくなり、リスクもずーっと高くなるのです。

 

また、単純に体重だけで麻酔量を決められないなど、他にも問題点はたくさんあります。肥満は、このように手術1つとってみても何もいいことはありません。しっかり体重コントロールをして適正な体型を維持することは、 動物にとってもとても重要なことなのです。

2009年3月13日

20090313激しい痒みで耳介が赤剥けてしまったワンちゃんが来院しました。

検査の結果、疥癬症であることが判明しました。「疥癬」とは一般的にヒゼンダニによる皮膚の疾患のことをいいます。特徴的な症状はとにかく痒くて痒くてたまらないこと。あまりの痒さに夜も眠れないことがあるほどです。

 

ヒゼンダニは、皮膚の柔らかい部分、肘・かかと・耳の先端などから侵入し、皮膚の角質に入り込んできます。産卵・交尾を繰り返し、皮膚の中でどんどん増えていきます。痒みの主な原因はヒゼンダニの分泌物に対する過敏症。アレルギーが起こってしまうというわけです。ただ、このアレルギーは発症するまでに時間がかかり、遅い場合は3~6週間かかることも。その間に他の犬や人間にうつってしまうことが多いので注意が必要です。確定診断はヒゼンダニを見つけることですが、問題は、角質(皮膚の奥)に入り込んだヒゼンダニを見つけるのが以外と難しいということです。皮膚をしっかり掻爬(削り取ることです)して顕微鏡で確認するのですが、数箇所から材料を採取しなければ見つからないことが多く、見逃してしまう可能性もないとはいえません。

 

疑わしいのに見つからない場合は診察のたびに何度も検査する必要がありそうです。治療は、卵からかえるヒゼンダニもきっちり駆除するために、一定期間かけて行なう必要があります。

2009年3月2日

20090302シーズーのワンちゃんの膀胱を切開して結石を取り出している写真です。

数ヶ月もの間、血尿になったり普通の色の尿になったりを繰り返していたそうですが、 以前から膀胱炎になったり自然に治ったりということがよくあったので、今回もまた飼主さんはついつい様子を見てしまったとのことでした。かかりつけの病院では、高齢で心臓疾患もあるこのワンちゃんの手術はちょっと難しいとのことで紹介されて当院に。

 

径3cmの大きさのものを筆頭に、数え切れないほどの結石を取り出しました。分析結果はリン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト)。感染症の管理と食餌管理で再発防止可能なものだったので少しホッとしま した。代表的な処方食としては、ヒルズのc/d、ロイヤルカナンのpHコントロールなどがあげられます。出来れば、ここまで問題が大きくなる前に(結石が出来る前に)定期的な尿検査や食餌管理で何とかしてあげたいものです。

尿検査は結石その他の問題だけでなく、腎臓の状態をみる上でもとても大切なので、定期的に実施することをおすすめします。尿検査は目的によって採取方法を選択する必要があるので詳しくは当院受付にてお尋ね下さい。