コラム 2008年10月 の記事
2008年10月20日
肛門周囲には分泌腺(多くは皮脂を分泌しています)がありますが、これが腫瘤物を形成するようになったものを肛門周囲腺腫と呼びます。
去勢手術を受けていない高齢のワンちゃんによく見られます。雄のホルモンが関与していると考えられています。肛門周囲腺腫は良性のものが多いですが、中には肛門周囲腺ガンや肛門嚢アポクリン腺癌といった悪性のものが見られることもありますので注意が必要です。最初のうちは触っても痛くなく排便にも支障がないので何となく様子を見てしまいがちですが、自然に治ることはないので結局は切除手術が必要になってきます。長いこと様子を見てしまうと、腫瘤の表面に潰瘍が出来て出血したり、感染を起こして化膿したり、大きくなり過ぎて排便困難になったりします。
そうなると手術そのものが非常に難しくなってしまいますので、やはり早期(小さいうち)に切除してしまうべきでしょう。写真のワンちゃんのように腫瘤があまりにも大きい場合は、まず去勢手術を施して腫瘤が少し小さくなるのを待ってから切除するといった考え方もあります。猫ちゃんには肛門周囲腺がないのでこの病気は起こりません。