コラム 2008年09月 の記事
数日前から食欲がなく元気もないというウサギさんが来院しました。
聴診で胃腸の蠕動音がほとんど聞こえません。触診では胃の中にかなりの内容物が存在しているのがわかりました。レントゲンを撮ってみると食帯を起こして膨大した胃が認められました。逆に盲腸内には内容物があまり見られません。
ウサギの消化器疾患、特に胃食帯は比較的よくみられる疾患です。通常は血液検査で脱水傾向以外大きな問題が見られないことが多く、輸液を主体に、胃腸運動を活性化させる 薬(メトクロプラミドやモサプリド)、食欲を増進させる薬(シプロヘプタジン)、H2ブロッカーなどを使って治療していきます。状況によりこれに流動食の強制給餌などを組み合わせていくこともあります。胃内容物が動き始め、排便量が増えればOKです。ところが、このウサギさんは内科治療に全く反応せず、胃内容物が頑として動かなかったのです。こういったケースでは胃内容物のほとんどが毛球であることが多く、胃切開手術が必要になります。
手術で大量の毛球を取り出したこのウサギさんはすっかり元気になりました。
耳と鼻のあたまにかさぶたを伴った赤いボツボツが出来てしまった猫が来院しました。かなり痒そうです。
聞くところによると夏場は毎年このようになってしまうとのこと。生検の結果、「好酸球性プラーク」と診断されました。「好酸球」というのは血液の中の白血球の一種で、主に寄生虫などから体を守る役割を持っており、さらにはアレルギー反応の起きている場所へ急行するという任務も担っています。
猫ではこの好酸球が皮膚に集まって特徴的な病変を作ります。そのひとつがこの好酸球性プラークです。
「プラーク」とは脱毛して湿った,平らにやや盛り上がった広い部分で丘のようなもので、つまりかさぶたを伴った赤いボツボツができてしまった丘疹が好酸球性プラークです。通常は副腎皮質ホルモンを投与すると良くなるのですが、アレルギーの原因を取り除かないと再発してしまいます。この猫も何回か再発を繰り返しました。聞くところによるとしょっちゅう屋外へ脱走してしまうとのこと。 夏場に発症することから、蚊によるアレルギーの可能性を考えて(ノミは予防済みなので)、脱走されないようにして室内のみで蚊を遠ざけて管理して貰ったところ、すっかりきれいに治りました。