コラム 2008年08月 の記事
腫瘍マーカーとは、ガンの進行とともに増加する生体因子のことで、主に血液中に遊離してくる因子を抗体を使用して検出する臨床検査のうちのひとつです。
人間の医療においては多種多様の腫瘍マーカーがあり、ガンの早期発見や治療後の経過確認などに幅広く使用されています。
しかしながら獣医療においては有用な腫瘍マーカーが無く、ガン医療に関しては残念ながら人医療に大きく遅れをとっているのが現状です。何とか有用な腫瘍マーカーの検査が確立されないものかと願っていたところ、(株)日本ペットライフから画期的な腫瘍検査の方法が発表されました。
腫瘍細胞が悪性転化する時に、腫瘍マーカーとしてアミノ酸類(フェニルアラニン・チロジン・水酸基のプロリン)、糖鎖を構成する単糖類(N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルノイラミン酸、N-グリコリルノイラミン酸)、糖蛋白質(α1-酸性糖蛋白質) などがごくわずかですが増加します。
これら複数の微量増加する腫瘍マーカーのトータル量を換算して悪性腫瘍の発症確認を行なうというものです(TSGF法)。発症部位の特定は行なえませんが、悪性腫瘍の早期発見検査として、更に良性・悪性の判別補助および転移・再発の診断補助として有効な検査と思われます。
少量の血液を採取するだけでOKです。詳しくは当院スタッフにおたずね下さい。
夏の行楽シーズン、ワンちゃん猫ちゃんを連れて海や山へ遊びに行く機会も多くなることでしょう。熱中症対策は万全ですか。
冷たい飲み水をたくさん用意したり、冷やしたタオルを用意したり・・・。
さてここでちょっと注意してもらいたいのですが、保冷剤として出回っているものの中に、食べてしまうと中毒を起こす成分(エチレングリコール)が含まれているものがあります。エチレングリコールは保冷剤がカチンカチンに固まらないような役目を持っているのですが、 誤って食べてしまうと大変なことになります。摂取して数時間のうちに元気喪失・運動失調・嘔吐がみられるようになり、さらに多飲多尿が続いた後徐々に血 尿・乏尿状態になり、重度の腎障害に陥ってしまいます。
治療しても助からないケースがほとんどで、助かっても腎臓に重い障害が残ってしまいます。摂取してから1~2時間以内ならば催吐処置・胃洗浄などの効果が期待できますが、それ以上経過している場合は点滴中心の治療になり、治癒率はだんだん低くなってしまいます。とにかくエチレングリコールは絶対に摂取させないことが大事です。お使いの保冷剤は動物がかじってしまっても大丈夫か否か、成分をしっかり確認しておきましょう。氷そのものを保冷剤として使うのが一番安全かもしれませんね。