コラム 2008年05月 の記事
食欲や元気がなく腹部が異常に膨らんでいるというウサギさんが来院しました。
レントゲン検査で腹腔内のおよそ2/3を占める液体を貯留した大きな塊がみられました。超音波検査を行なったところ、液体を貯留して大きく膨らんだ子宮が幾重にも折り重なり合って腹腔内を占有していることが判明。早速開腹手術を施したところ、約800g強の卵巣子宮が摘出されました(写真)。術前の体重が1.7kgだったので、取り出したものの大きさ・重さはこの子にとっては相当負担だったんだろうなって、あらためてビックリ。子宮水腫は犬猫に比べてウサギではかなり多く見られます。腫大した子宮の圧迫により呼吸困難に陥ったり、元気や食欲が低下したり。また、子宮水腫から子宮捻転に陥ると、疼痛が著しく、急速に全身状態が悪化することがあるので注意が必要です。病気になってからの手術は相当なリスクを伴います。
お産の予定のないウサギさんは早い段階での不妊手術を考えておくべきではないでしょうか。
この瞬膜の中にあるリンパ組織が腫れてしまうと腫瘤を呈するようになり、外に向かって突出し、ひどい場合は眼の中に戻らなくなってしまいます。瞬膜炎と呼ばれるこの病気は細菌感染が主な原因と考えられており、年齢に関係なく発症し、両方の眼に出てくることが多いようです。
通常は抗生物質の点眼や内服で治療していきますが、最終的には外科的処置が必要になるケースが多いようです。この瞬膜内のリンパ組織は涙の産生に少しは関与しているので、出来ることならば切除せずに内科的に治したいところなのですが、この写真のウサギさんのように相当大きく突出してしまった場合はやはり外科切除が必要になります。
言い忘れましたが、瞬膜はウサギだけでなく、犬や猫にもあります。人間の瞬膜はほとんど退化しており、痕跡だけしかみられません。