コラム 2007年12月 の記事
2007年12月26日
猫の膵炎は、犬の膵炎と比べると症状がはっきりしないものが多く、何となく元気や食欲がないといった主訴で来院した猫の検査を進めていくうちに、隠れていた膵炎が発見されることも珍しくありません。曖昧な症状のために様子をみてしまう飼主さんも多く、調子がガクっと落ちてから慌てて病院に連れて来るケースも・・・。
写真は、数ヶ月前から時々嘔吐が見られたが、2日前まで元気も食欲もあったという猫のレントゲン検査時のものです。胃腸にガスが充満し、腹腔内にも遊離ガスがみられます。穿孔による腹膜炎と診断し、緊急開腹手術を実施したところ、胃と十二指腸に穴が開いているのが見つかりました。何とか修復し一 命を取りとめましたが、運が悪ければ助からないところでした。慢性膵炎に気づかずに長いこと様子をみていたことが原因だったのです。猫の膵炎を診断するには、何気ない症状を軽視せず、血液検査・レントゲン検査・超音波検査などを組み合わせてしっかり行なう必要があります。
最近では「猫膵リパーゼ (f-PLI)」をIDEXX検査センターで測定してもらうことで、確定診断により一層近づけるようになりました。