コラム 2007年08月 の記事
沸騰している鍋の中に落下してしまったというセキセイインコが来院しました。
鳥がヤケドを起こしやすいのは羽毛に覆われていない脚の部分です。体躯は羽毛に覆われているため、熱湯が皮膚まで深く浸み込むことがなければ意外とヤケドになることは少ないです。ですから、熱湯の中に落ちたからといって、体全体を 水で冷やしたりせずにまずは脚のみをしっかり冷やすことが先決です。体全体を冷やすことはかえって体温を奪ってしまうおそれがありますので。ただし、もし熱湯が羽毛の深部にまで達している場合はそんなことは言っていられませんし、急いで動物病院へ連れて行く必要がありますが、脚以外に広範囲にヤケドを負ってしまった場合は残念ながら助からないこともあります。部屋でフリーに遊ばせる時はこのような事故が起きないよう、十分注意して下さい。
写真の子は幸いにもカカト部分のヤケドだけで済みました。
ハムスターの骨折は後肢に起こることが多く、何となく動きが鈍い、跛行しているといった主訴で来院するケースがよく見られます。
ただし、中には骨折していてもまったく気にせず軽快に動き回るハムスターもいるので、発見が遅れてしまうこともしばしばあります。後肢の骨折の中でも特に多いのが下腿骨(脛骨)の骨折で、その場合は跛行というよりも足がブラブラしてしまい、長時間そのままで動き回っていると、折れた骨が筋肉や皮膚を突き破って出てきたり、骨折部より下がねじれて壊死することもあります。
その場合は断脚せざるを得ません。写真のハムスターは骨折部より下がミイラ化してしまったため、膝関節のところで断脚を行ないました。ハムスターの骨折の原因としては、回し車に足を挟んだり、ケージの網床に足をとられたり、出入り口で足を挟んだり、天井にぶら下がっていて落下したりなど、ケ-ジや備品の問題で起こることがまず考えられます。また、誤って踏んだり、持っていて落としてしまったりなど、人間の不注意でも起こり得ます。つまり、すべては飼育管理の問題に行き着くわけです。
不幸な事故を防ぐために、普段から注意深い観察ときちんとした飼育管理を心がけるよう にしましょう。
犬を連れて海に遊びに行く予定の方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。海は楽しい所ですが、実は危険もたくさん待ち受けています。そこで、犬を海で安全に遊ばせるにあたっての注意点をいくつか書き出してみました。まずは当然のことながら、暑さ対策(熱射病対 策)は万全でなければなりませんが、逆に忘れがちなのが冷え過ぎ対策です。小型犬などはあまり長時間泳いでいると体温が下がり、お腹も冷えてしまいます。
それから、泳いだ後はその場で全身を洗うことは無理でも、耳や手足の指の部分などは出来るだけ真水で洗うようにしましょう(出来れば眼も)。塩分で皮膚が負けないように注意してあげて下さい。洗浄用と飲料用に数リットルの真水は必ず用意しておくべきでしょう。また、海岸に落ちている魚やバーベキューの残り などを勝手に食べないよう目を光らせておかなければなりません。釣り針ごと魚を飲み込んでしまったり、串ごと焼肉を食べてしまったりしては大変です。その他にもお腹をこわすものはたくさん落ちているのでしっかり見張っていて下さいね。海水だってたくさん飲んでしまったら嘔吐したり下痢になることもあるのですよ。夕方以降は花火にも注意しましょう。嫌いな子には本当にストレスですから。無事に帰宅したら、全身を洗う前にもう一度身体チェックをしましょう。足裏に怪我をしていないか、岩場で転んで歯が欠けていないか、眼がひどく充血していないか、などなど。最後になりましたが、海水浴客の中には犬が苦手な人がいることも忘れてはなりません。やたらに吠えさせない、安易にリードを放さない、排泄は前もって済ませておく、などのマナーは厳守ですよ。。