コラム 2007年03月 の記事

2007年3月27日

20070327嘔吐が続いているというネコが来院しました。普段は元気があり過ぎて細かい検査がなかなか出来ない子なのですが、今回はぐったりしていていつもと明らかに 違う様子。諸検査にて異物による腸閉塞が強く疑われたため、緊急開腹手術を行ないました。空腸(小腸)の閉塞部分から取り出されたものは、何と長さ60セ ンチ以上はあろうかという布ヒモ!しかもこれが結構太いんです。切開部分からズルズル出てきた時には本当にビックリしましたが、よくまあこんなものをネコ が飲み込んだものだと逆に感心してしまうほど。さぞかし飲むのに苦労しただろうなと思わずにはいられませんでした。ヒモ状異物による腸閉塞は時として致命 的な結果をもたらすことがあります(ヒモ自身による腸管の切断など)。

今回は症状発現から処置に至るまでの時間が短かったために腸管のダメージがひどくなかったことが不幸中の幸い。4泊の入院で済みました。

2007年3月19日

20070319変な形の便が出るようになったという11歳のゴールデンレトリーバーが来院しました。縦にペチャンコになって出てくるとのこと。

バリウム注腸造影により左 会陰部から骨盤腔にかけて大きな塊が存在し、それが直腸を圧迫しているのがわかりました。細胞診(注射針を刺して細胞を吸引し、染色して顕微鏡で観察)の 結果、大きな脂肪の塊であることが判明。手術で取り出したものは「脂肪腫」という良性の腫瘍でした。

 

脂肪腫は皮下の脂肪が無制限に増殖して大きなやわらか い塊を作るもので、8歳以上の高齢犬に比較的多くみられます。通常、切除してしまえば完治するのですが、絶対に切除しなければならないものというわけでも なく、生活に支障がない部位に出来た脂肪腫はそのまま放置することもあります(ただし今回の症例は放置しておいたら大変ですが・・・)。同じ脂肪腫でも四 肢の筋肉の間に入り込むタイプの脂肪腫は、筋肉を圧迫するので疼痛もあり硬く感じられます。

 

この場合は放置せずに積極的に手術した方が良いでしょう。ま た、まれではありますが、「脂肪肉腫」という悪性度の高い腫瘍の場合は浸潤や転移がみられることもあり、脂肪腫のように手術で完治というわけにはいかない ようです。

2007年3月11日

20070311130年以上も前に絶滅したと考えられていた鳥がタイのバンコク郊外で発見されました。この鳥はヨシキリの一種(Large-Billed Reed Warbler)で、湿地帯に生息します。バンコクのマヒドン大学の鳥類学者フィリップ・ラウンドさんが、タイ湾沿岸の下水処理施設周辺の草原で偶然発見 したそうです。この鳥は雄の個体で、体重9.5g、体長14cm。大体スズメくらいの大きさで、生後1年くらいとみられています。他のヨシキリと異なり、 長いくちばしと短い羽が特徴的です。スウェーデンのルンド大学でDNA鑑定した結果、1867年にインド北西部で発見されて以来見つかることのなかった 「幻の鳥」と同種であることが確認されました。絶滅したと思われていた動物が実はちゃんと生息していたなんて、びっくりですがちょっと嬉しいニュースですよね。

 

もしかしたら、100年ぶりに日本オオカミ発見!なんてことも夢ではないのかもしれませんね。

2007年3月3日

20070303脾臓の腫瘍は高齢の犬で比較的よく見られます。特にこれといった症状がないことが多く、レントゲン検査や超音波検査でたまたま発見されるまで全く気がつか ないこともあります。しかしながら、脾臓の腫瘍は良性・悪性に関わらず組織自体がもろくなっているので、その部分が破裂して腹腔内出血を起こし、ショック 状態に陥ってしまう危険があり、緊急疾患として搬入されるケースも少なくありません。当然その場合は緊急手術で脾臓を摘出しなければなりません。出血量に よっては輸血も必要になるでしょう。ただし、脾臓の腫瘍は見た目が悪性っぽく見えても病理組織検査で良性と判定されることも多く、その場合の予後は良いで しょう(写真のワンちゃんの脾臓腫瘍は良性でした)。逆に小さい腫瘍でも「血管肉腫」のような悪性腫瘍の場合は、手術後に一時的に元気になっても、肝臓や 心臓に転移を起こす可能性が高く、残念ながら予後は非常に悪いものとなります。いずれにしても早期発見・早期治療が必要なことは間違いありません。高齢の ワンちゃんは年に1~2回のドック検査を受けることをおすすめします。