コラム - モルモットのおはなし -

2013年9月30日

熊澤チョココルネ1何となくおなかが膨らんで見えるモルモットが来院。
触診すると、おなかの両サイドあたりにピンポン玉のような膨らみがあります。どうも卵巣と思われる部分が水腫状に膨らんでいるようです。
レントゲン検査やエコー検査の結果、卵巣嚢種であることが判明しました。
卵巣嚢腫は性ホルモンの異常が原因とされていますが、実際のところはよくわかってはいません。痛みはほとんどなく、元気食欲もあまり低下しないので、最初のうちはなかなか発見しにくい病気です。
ただ、進行すると腫大した卵巣による他の臓器の圧迫などで状態が悪くなることも考えられます。
さらに、水腫部分が炎症を起こして膿状に変化したり、癒着を起こしたり、また、卵巣の問題だけでなく子宮疾患を併発している可能性もあるので、一般状態が良いうちに早めに摘出手術を行うことが推奨されます。
モルモットの開腹手術は、麻酔管理も含めて難易度はけっして低くはありません。
状態が落ちてからの手術は相当なリスクを伴うものです。
普段から健康チェックを受けるようにして、出来るだけ病気の早期発見早期治療を考えてあげて下さいね。

2009年4月8日

20090408モルモットの麻酔はかなり神経を使います。

事前に聴診などを主体とした身体一般検査を行なうほか、血液検査や心臓・肺の状態を見るためのレントゲン検査を行なう場合もありますが、それらが正常だからといって全く安心とは言えません。

 

犬や猫のように気管チューブを挿管して呼吸をコントロールすることがほとんど出来ず、手術中の麻酔維持はマスクをかがせて行なわねばなりません。さらに、犬猫なら、心電図・呼吸ガス・酸素分圧・血圧・体温などのモニター管理が可能ですが、モルモットの場合は心電図や体温くらいしかモニターが出来ないので、呼吸状態をしっかり目視していなければなりません。呼吸が停止してしまうよ うな深い麻酔は絶対にいけません。呼吸状態を目視するために、手術用のドレープを透明のビニール素材のものにするなど、いろいろ工夫が必要です。本当に神経を使います。

 

ですから、無事に手術が終了したときの安堵感や達成感は特別なものがあります。写真のモルモットは大きな乳腺腫瘍を切除しました。元気に退院してくれて本当に良かったです。

2008年12月3日

20081203頻回尿および血尿を呈しているモルモットが来院しました。

レントゲン検査で膀胱内に小さな結石(直径3mmくらい)が確認されました。モルモットの尿結石はカルシウムを主成分とするものがほとんどで、内科的に溶解させることは基本的に無効です。この子も外科的に摘出することになりました(写真の黄色い矢印の先に摘出中の結石が見えます)。

たった3mmくらいの大きさとはいえ、この子にとっては結石の存在は大問題です。摘出した結石は予想通り「炭酸カルシウム」。

今後は高繊維・低カロリーのペレット(もちろんモルモット用のものですよ)あるいはイネ科の乾燥牧草などの低カルシウム食を中心に給餌していく必要があります。

ビタミンCをしっかり補給することが予防につながるとも言われています。