コラム - 犬のおはなし -
犬フィラリア症の予防期間はいつからいつまでが本当に必要な期間なのか、今まで何となく曖昧な部分がありましたよね。獣医師が推奨する予防期間(だいたい 4月末~11月末)は長過ぎると思ってらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
そこで、最近はフィラリア症の感染期間を数値化出来ないものかとの要望に応えるべく、HDU(Heartworm Development heat Unit)という概念に基づく感染期間の数値化が試みられています。HDUについては「当院からのお知らせブログ」に詳しく書いてありますのでご参照下さ い。HDUによると、2009年の横浜では、5月12日が感染開始日、11月1日が感染終了日だったことになります。これから考えると、推奨予防期間(だ いたい4月末~11月末)が正しいことがおわかりいただけると思います。
早めに始めて、しっかり最後まで予防をやり遂げること、これが大事なんですね。写真はフィラリアに感染してしまったワンちゃんの血液中に見られたミクロフィラリア(フィラリアの子虫)です。こうなってしまっては大変です。元気な毎日を過ごすために、毎年のフィラリア予防はしっかり行ないましょうね。
時々悲鳴をあげるというチワワが来院しました。食欲・元気もいつもよりは落ちているようです。
嘔吐がみられたので気になって来院されたとのこと。血液検査では特に異常値がみられなかったのですが、レントゲン検査で小腸全体にガス像がみられ、イレウスの疑いがあったので、超音波検査で確認したところ、小腸に 異物らしきものが存在しているのがわかり、さっそく開腹手術を実施しました。手術で取り出したものは「プラスチックの☆型もの」でした。子供さんのおもちゃから取れてしまったもののようです。鋭く尖っていて、小腸を今にも突き破りそうな状態でした。本人は相当痛かったことでしょうね。本当に危ういところでした。
例えこんな小さなものでも誤食により大変なことになってしまうということを十分認識して下さい。室内でも散歩中でも、異物を口にしないようしっかり管理してあげて下さいね。
下顎のリンパ節の針生検で写真のような細胞が採取され、この子は「多中心型リンパ腫」と診断されました。治療のこと以外で飼主さんからよく質問されるのは、「リンパ腫」と「リンパ性白血病」の違いです。
確かにどちらもリンパ球増殖性疾患であることに変わりはありませんが、白血病は骨髄原発の血液細胞の腫瘍性増殖であり、骨髄を主な増殖の場とするのに対して、リンパ腫はリンパ系細胞の骨髄以外の組織(例えばリンパ器官など)を原発とする結節性、浸潤性増殖疾患である点が異なります。全身への影響や治療への反応も異なります。いずれにしても化学療法剤が治療の主体となりますが、残念ながら完治に至ることはあまり期待できません。ただし、治療することで生活の質を向上させ、寛解状態を得ることの出来る相手であり、他のガンと比較して治療する価値は十分にあります。
何もしないであきらめるには本当にもったいないガンと言えるでしょう。ただし、治療にあたっては飼主さん と獣医師が何度も相談して双方がしっかり理解しあった上で行なわれなければなりません。
フィラリア予防のシーズンがやってまいりました。今年もまたしっかり予防していきましょうね。当院ではここ数年、フィラリアに感染しているワンちゃんをみるケースが本当に少なくなってきましたが、まだまだフィラリアそのものが撲滅されたわけではありませんから、ひと夏予防せずに過ごすなんて怖いことは絶対にしないで下さいね。
もしかしたら、皆さんの中には「ちょっとくらい予防しなくたって大丈夫なのでは?」と思っている方がいらっしゃるかもしれませんが、 フィラリアはそのちょっとした油断が大敵なのです。写真はたまたま昨年の夏にフィラリア予防を忘れてしまったというワンちゃんの血液中に検出されたミクロフィラリア(フィラリアの子虫)です。当然ながら成虫抗原検査も陽性でした。毎年欠かさず予防してきたのに、ひとシーズン抜けただけでフィラリアに感染してしまったのです。
治療で何とかなるとはいうものの、場合によっては死に至ることもある怖い寄生虫フィラリア! 「治療」ではなく「予防」で対処するに越したことはありません。まだ予防関係がお済みでない方は早めに病院へ行かれることをおススメいたします。
「当院からのお知らせ」のページで、このことに関してもう少し詳しく載せています(動画もあります)ので、是非目を通しておいて下さいね。
タバコを5本飲んでしまったラブラドールの飼主さんから電話がありました。
気がついたのは3~4時間ほど経過してしまってからとのこと。ニコチンによる中毒が心配です。飲み込んですぐならば強制的に吐かさせることも有効ですが、ここまで時間が経過してしまうと、そういった処置はもう無意味なので・・・。
犬がニコチンを大量に摂取すると小一時間くらいの間に「興奮」「ふるえ」「流涎」「嘔吐」「下痢」「幻覚症状」などがみられるようになり、ひどい場合は「ケイレン」が起こり、「心停止」してしまうことも。ただし、通常はタバコを飲んでしまっても、胃に感じる強い刺激やニコチンによる脳の嘔吐中枢への指令によ り大部分を吐いてしまうので、大きな問題に発展することは少ないようです。今回のワンちゃんのケースはそういった症状が一切なく、すでに3~4時間経過しているのでとりあえずは一安心といったところです。
犬が中毒を起こすのは、おおよそ体重1kgあたり11mgのニコチンを摂取した時と言われています。今回のタバコは1本あたり約0.4mgのニコチンが含まれていたので、計算すると体重26kgのラブラドールの中毒量は。。。5本くらいでは特に問題が起こらないことになりますね(^_^)v 何はともあれ無事で良かったですが、まずは誤飲されないように気をつけないといけません。
因みに人間の赤ちゃんでは、ニコチン10~20mgが致死量になりますので本当に注意して下さいね。