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ハムスターによくある病気



ハムスターによくある病気

  ハムスターはとても小さな動物で、ちょっとしたこと(例えば移動することや慣れない人に触られること)で大きなストレスを感じてしまいます。臨床検査もそれほど多くのことができるわけではありません。便検査・尿検査・レントゲン検査・超音波検査などはできますが、犬や猫と違って血液検査はとても困難です。
  また、細かな検査や治療を行うにも、余計な恐怖感やストレスを与えないためにかえって麻酔をかけた方が良い場合もあります。病気のメカニズムの解明や治療法・処置法も犬や猫ほど進んでいません。そして困ったことにハムスターのような小さな動物ほど、症状をギリギリまで表さないものなのです。調子の悪いハムスターを病院に連れてきても、どこがどういつもと違うのか、普段の様子がわからなければ、状態をきちんと説明し、獣医師の質問に答えることはできません。普段のお世話の中で、スキンシップを十分図り、いつもと違うところはないか、よ〜くチェックするようにしましょう。そうすれば、あなたのハムちゃんもきっと最善の治療を受けることができますよ!


肥満 結膜炎 マイボーム腺腫 過長歯
頬袋脱 皮脂腺腫 乳頭腫 膿皮症
ニキビダニ 臭腺の化膿 膀胱炎・尿路結石 腎不全
細菌性下痢・ジアルジア感染 直腸脱・膣脱 卵巣・子宮疾患 心疾患
アレルギー 骨折 斜頚 腫瘍
【肥満】
  まず最初にお話しておかないといけません。「ハムスターはコロコロしていてかわいいもの」これが普通の感覚では飼い主失格ですよ!人と同じです。肥満は万病の元!体の中の臓器は圧迫されて、自分の骨格に見合わない体重を支えるために、心臓も骨もいっぱいいっぱいです。代謝も悪くなり、皮膚の重なる部分(いわゆるシワの部分)では通気も悪くなって、皮膚病も起こしやすくなります。夏の暑さなんてとてもつらくなってしまいます。治療法は飼い主さんのきちんとした食事管理です!ひまわりばかりあげていませんか?おやつをたくさんあげていませんか?先にお話した、種類ごとの適正体重を保てるようしっかり管理してあげましょう!
【結膜炎】
  目ヤニが出て目が開けづらくなったり、まぶたが赤く腫れたり、痒みがあるためにしょっちゅう顔を洗うしぐさをしたりします。細菌感染やアレルギーがおもな理由です。最近、床材の種類を変えたということはありませんか?お掃除をさぼってしまったということはありませんか?治療は抗生剤の点眼が中心となります。
【マイボーム腺腫】
  多くの場合は上まぶたが腫れたようになります。ハムスターは目をしょぼしょぼと開けづらそうにしています。よーく見ると白いぽつんとしたにきびのようなできものが見られることがあります。これは、まぶたの内側にあるマイボーム腺という脂の分泌腺の開口部が炎症を起こしたり詰まったりした結果、分泌されなくなったものが貯留して腫れてしまっている状態です。治療はまず抗生物質の点眼で様子を見ます。これだけで良化する場合もありますが、多くの場合は治療に反応せず、大きくなってしまった場合は麻酔下での切開・搾り出し処置が必要になります。
【過長歯】
  硬いものが食べられなくなった、食欲が落ちた、やせてきたなどが症状です。出っ歯のようになると何もしなくても外から見て異常に気付くことができますが、内側に巻き込んでしまっている場合には、しっかり持ってお口を見ないとわかりません。ひどくなると上あごに下の切歯が突き刺さって大きな穴を作ってしまうこともあります。これは、上下の切歯の歯並びが悪いために起こります。食べ方がおかしいなと思ったら過長歯の可能性があります。治療法は定期的な歯のカットです。
【頬袋脱】
  お口に赤いできものができたように見えたり、粘膜面が露出しているために床材などが張り付いていたりします。ハムスターはお口を上手に使うことができなくなります。治療法はまずは生理食塩水で湿らせた面棒などで元の位置に戻してみることから始めます。逸脱してから時間がたつと、反転して飛び出してしまった頬袋は粘膜面が乾燥してしまい、もとに戻すのが困難になったり、再発しやすくなる場合があります。切除手術が必要になることもあります。見つけたらすぐに病院に連れてきてください。
【皮脂腺腫】
  皮脂腺からの分泌物が詰まってしまうことによってできるできものです。どんどん大きくなる場合や気にして引っかいたりするような場合は、切開して中身を出す処置を行いますが、とくに変わらなければ様子を見てよいでしょう。自壊して中身が出てしまう場合があります。
【乳頭腫】
  どこにでもできますが比較的毛のない耳の中にできやすいできものです。皮膚と同じ肌色〜ピンク色でカリフラワーのようにモコモコしていたりします。基本的には、そのままで大丈夫ですが、大きくなる場合や本人が気にする場合には切除します。
【膿皮症】
  皮膚の赤み・痒み・湿疹・ただれ・脱毛などが見られます。高温多湿となる夏場に多く、特に肥満のハムスターなどで、四肢がたるんだ皮膚に隠れてしまうような場合、脇や後肢の付け根など、通気性が損なわれ、膿皮症になりやすくなります。まずケージ内の環境を改善し清潔に保つようにします。治療は抗生物質の内服と必要に応じて外用塗布薬を使います。
【ニキビダニ】
  毛が薄くなったり、痒がらないのに脱毛が進んでいったり、局所的にハゲてしまったりなどが主な症状です。ニキビダニとは、ほとんどのハムスターの毛根部に寄生する虫です。通常は症状となって現れませんが、ストレスなどで免疫力が弱まったときに症状が出ます。治療法はストレスの回避と免疫力向上のためのサプリメントなどを用いたり、ニキビダニそのものを駆除する目的の薬剤を投与したりします。薬浴が必要なこともあります。
【臭腺の化膿】
  ジャンガリアンハムスターにはおへその辺りに臭腺という臭い袋があります。特にオスではこの分泌物が多く、時により詰まってしまう場合があります。感覚的には「おへそのごま」です。なんでもなくても少し臭いですが(臭腺なので…)、化膿しているととても臭い嫌なにおいがします。化膿して腫れてしまっている場合は、中にたまった分泌物を取り出し抗生剤を内服、もしくは局所的な外用剤で治療します。
【膀胱炎・尿路結石】
  おしっこの色がおかしい(正常尿は薄黄色です)・臭い、おしっこの出口が汚れている、おしっこが出ない、おしっこの回数がやたら多い、おしっこをするときの様子がおかしい(きばっている)などは膀胱炎や尿路結石の症状です。単純な細菌性の膀胱炎では抗生剤の内服が中心ですが、なぜ膀胱炎になったのか原因によっても治療方法が異なります(食事管理。生活指導など)。結石ができてしまっている場合には摘出手術も行うことがあります。正しい診断と原因究明のためにはおしっこの検査が必ず必要です。もし採れれば、診察時に新鮮な尿をお持ち下さい。
【腎不全】
  食欲・元気がないけれども、お水はよく飲み、おしっこの量もとても多い、皮膚につやがなくしわしわに見える(脱水している)、といった場合は腎不全が考えられます。糖尿病と間違いやすいですがおしっこの検査で鑑別できます。1つの老齢病ですが、若い子でもなります。治療法は皮下輸液が主体となります。
【細菌性下痢・ジアルジア感染】
  軟便が続いていたり、食欲元気がなくなったりします。お尻と尻尾がぬれて汚れるのでウェットテイルとも呼ばれます。ジアルジアはハムスターの腸管内に寄生する原虫ですが、幼いハムスターやおとなでもストレスなどで免疫力が低下したときに、増加して小腸での消化吸収を妨げ、軟便〜下痢が見られるようになります。ひどい場合は、脱水を起こしたり、体力の弱ったハムスターでは死んでしまうこともあります。残念ながら購入前にすでに蔓延してしまっている場合が多く、購入後の環境の変化など、ストレスを受けた時に症状が発現したりします。同時に運動性細菌が増加して、症状をさらに悪化させている場合が多いです。完全駆除ができればベストですが、難治性の場合は完全駆除というよりも、うまく付き合っていくように、症状が抑えられるくらいの寄生数になるまで、抗原虫剤・抗生剤を用いて治療していきます。
【直腸脱・膣脱】
  肛門から直腸、外陰部から膣が脱出している状態です。赤いできものができたように見えます。お腹の中にできものができて腹圧が上がったり、下痢などでしぶり・いきみを繰り返していたりすると起こりやすくなります。治療法はとにかく早く元に戻す!です。脱出してから時間がたつと、脱出した部分がうっ血して腫れてしまったり、乾燥したりして整復が困難になります。ひどい場合はうっ血した部分が壊死してしまい、自分で噛みちぎってしまったり、そこから全身性の細菌感染を併発してしまうと助からなくなってしまいます。整復してもすぐに再発する場合は、数日間、肛門や外陰部を縫って閉じてしまうこともあります。開腹手術が必要な場合もあります。見つけたらすぐにつれてきてください。
【卵巣・子宮疾患】
  おしっこに血が混ざったり、床材に血がついていたりします。お尻周りが赤く汚れている場合もあります。膀胱炎などと間違いやすいですが、女の子のハムスターで、外陰部からの出血があった場合は子宮蓄膿症・子宮内膜炎・子宮腺癌などが可能性としてあげられます。尿検査で泌尿器疾患を除外し、可能であれば超音波検査などを行って診断します。治療は、抗生剤・止血剤の内服薬が中心となりますが、年齢的にまだ若く手術可能な状況であれば、卵巣子宮を摘出してしまうのがベストでしょう。
【心疾患】
  食欲元気がなくなり、一生懸命呼吸をし、鼻や耳・手足の色が悪かったり冷たかったりします。心臓の筋肉や弁膜に異常があると、心臓のポンプ機能が十分に働かず、血液が全身に運ばれなくなってしまいます。これにより、腹部臓器や胸部の肺で血液の渋滞が起こり、呼吸が苦しくなったり、手足が冷たくなります。治療法は利尿剤・血管拡張剤を用いて渋滞してしまった血液をきちんと循環させ、心臓への負担を軽減させます。ゴールデンハムスターで比較的よく見られる疾患です。
【アレルギー】
  鼻水やくしゃみ、皮膚の赤み・痒み・脱毛といったものが、ハムスターのアレルギーの主な症状です。あまりにひどいと呼吸が苦しかったり、喘鳴音がしたりします。アレルギーに一番関係していると思われるものは、床材です。お薬を使う前に、まず、床材を変更し、こまめに掃除をするようにしましょう。この場合、紙を主原料とした粉の出ない(ほこりの出にくい)ものに変えることをオススメします。それでもひどい症状がおさまらない場合、微量のステロイド剤を使ってアレルギー症状を抑えていきます。
【骨折】
  足が変な方向を向いている、変な色をしている、ぶらぶらしているときは骨折の可能性があります。特にハムスターでは、ケージの扉やはしご型の滑車に足を挟んだりすることで発生することが多いです。
後肢のかかとの少し上、人で言うすねの骨を折ることが多いです。ハムスターは後ろ足がほとんど隠れてしまっているため、発見が遅れることがあります。開放骨折といって骨が見えてしまっている場合は、全身感染症を起こしてしまうこともあります。基本的に骨折は、テーピングやギブスを使ってあるいは金属のピンを入れて治しますが、状況によっては断脚せざるを得ない場合もあります。
【斜頚】
  顔を傾けているような姿勢になります。ひどいと立っていられなかったり、くるくる回転してまっすぐ歩けなかったりします。頭の中や耳の奥に問題があったりするのが原因です。治療はステロイド剤と抗生剤が中心となります。
【腫瘍】
  ハムスターは腫瘍の発生が多い動物です。体の表面に出っ張って気付く場合もありますし、お腹の中にできてかなり大きくならないと気付かない場合もあります。悪いもの(癌)である場合も多く、見つけたら、可能な状況であれば摘出し、病理組織検査に出しましょう。