コラム - うさぎのおはなし -

2008年9月30日

20080930数日前から食欲がなく元気もないというウサギさんが来院しました。

聴診で胃腸の蠕動音がほとんど聞こえません。触診では胃の中にかなりの内容物が存在しているのがわかりました。レントゲンを撮ってみると食帯を起こして膨大した胃が認められました。逆に盲腸内には内容物があまり見られません。

 

ウサギの消化器疾患、特に胃食帯は比較的よくみられる疾患です。通常は血液検査で脱水傾向以外大きな問題が見られないことが多く、輸液を主体に、胃腸運動を活性化させる 薬(メトクロプラミドやモサプリド)、食欲を増進させる薬(シプロヘプタジン)、H2ブロッカーなどを使って治療していきます。状況によりこれに流動食の強制給餌などを組み合わせていくこともあります。胃内容物が動き始め、排便量が増えればOKです。ところが、このウサギさんは内科治療に全く反応せず、胃内容物が頑として動かなかったのです。こういったケースでは胃内容物のほとんどが毛球であることが多く、胃切開手術が必要になります。

手術で大量の毛球を取り出したこのウサギさんはすっかり元気になりました。

2008年5月24日

20080524食欲や元気がなく腹部が異常に膨らんでいるというウサギさんが来院しました。

レントゲン検査で腹腔内のおよそ2/3を占める液体を貯留した大きな塊がみられました。超音波検査を行なったところ、液体を貯留して大きく膨らんだ子宮が幾重にも折り重なり合って腹腔内を占有していることが判明。早速開腹手術を施したところ、約800g強の卵巣子宮が摘出されました(写真)。術前の体重が1.7kgだったので、取り出したものの大きさ・重さはこの子にとっては相当負担だったんだろうなって、あらためてビックリ。子宮水腫は犬猫に比べてウサギではかなり多く見られます。腫大した子宮の圧迫により呼吸困難に陥ったり、元気や食欲が低下したり。また、子宮水腫から子宮捻転に陥ると、疼痛が著しく、急速に全身状態が悪化することがあるので注意が必要です。病気になってからの手術は相当なリスクを伴います。

お産の予定のないウサギさんは早い段階での不妊手術を考えておくべきではないでしょうか。

2008年5月9日

20080509ウサギの眼には瞬膜という眼球を被う薄い膜があります。

この瞬膜の中にあるリンパ組織が腫れてしまうと腫瘤を呈するようになり、外に向かって突出し、ひどい場合は眼の中に戻らなくなってしまいます。瞬膜炎と呼ばれるこの病気は細菌感染が主な原因と考えられており、年齢に関係なく発症し、両方の眼に出てくることが多いようです。

通常は抗生物質の点眼や内服で治療していきますが、最終的には外科的処置が必要になるケースが多いようです。この瞬膜内のリンパ組織は涙の産生に少しは関与しているので、出来ることならば切除せずに内科的に治したいところなのですが、この写真のウサギさんのように相当大きく突出してしまった場合はやはり外科切除が必要になります。

 

言い忘れましたが、瞬膜はウサギだけでなく、犬や猫にもあります。人間の瞬膜はほとんど退化しており、痕跡だけしかみられません。

2007年5月30日

20070530雌のウサギが性成熟に達するのは、小型種では4~5ヶ月齢、中型種では4~6ヶ月齢、大型種では5~8ヶ月齢です。

発情期間は4~17日と長く、1ヶ月に 数回の許容期がありますが、休止期はその間わずか1日くらいしかありません。交尾により排卵し(逆に言うと交尾がなければいつまでも排卵はおこりませ ん)、約1ヶ月の妊娠期間を経て出産となりますが、妊娠・出産を繰り返す野生のウサギとは異なり、コンパニオンアニマルとして家庭で飼われているウサギ は、交尾・妊娠することがなければ1年中発情状態が続くことになります。ウサギの性的ストレスの大きさは私たちの想像以上だと言えるでしょう。

 

その結果、 攻撃性・尿スプレー・マウンティングなどの好ましくない行動もしばしば見られるようになります。また、正式な統計ではありませんが、中年齢以降のウサギに は子宮腺癌・子宮内膜過形成などの雌性生殖器疾患が高率に発生するというデータが随所で見られます。これらのことから、お産の予定のない雌のウサギを飼う 場合は避妊手術(卵巣子宮全摘出手術)を強くおすすめします。

子宮疾患の予防にもなりますし、性的ストレスから解放されたウサギは性格も穏やかになって飼 いやすくなるなど、メリットはとても大きいはずです。

2006年9月18日

 20060918[1]ウサギの永久歯は切歯と臼歯からなり、総数28本生えています。 これらの歯は生涯にわたって伸び続けますが、上下の歯が上手く咬み合って摩擦しあうため適切な長さが保たれています。 でも、何らかの理由で歯の咬み合わせが悪くなり、正常な歯の摩擦が出来なくなると、歯が異常な方向に伸びてしまいます。 このことを不正交合といい、切歯で起こる場合と臼歯で起こる場合があります。写真の子の場合は不正咬合が臼歯で起こっています。 上下が上手く噛み合わず、正常な摩擦にならないため、一部分がだんだん尖がってきて舌に当たり、 炎症を起こしてご飯が食べられなくなってしまったのです。 硬いペレットだけを与え続けていると、臼歯の動きが縦方向(押し潰すだけの動き)に偏ってしまい、歯の摩擦がうまくいかなくなります。 牧草をたくさん与えることにより、臼歯本来の横方向の動き(臼ですり潰すような動き)が促されるようになるので、 不正咬合を予防するには、適度な力で潰れて繊維質がしっかり残る硬過ぎないペレットを選ぶことと、 普段から牧草に慣らしておくこと、この2つが大事だと言えるでしょう。