歯周病は1995年にWHOによってNo.1感染症に指定された疾病で、歯肉辺縁が炎症を起こす歯肉炎、歯周囲組織が炎症を起こす歯周炎を併せた病名です。歯周病が進行すると、食欲不振・減退・廃絶、口臭、歯の脱落がみられるようになり、そのまま放置すると全身性疾患へ移行する恐れもあるので、きちんと注意・管理する必要があります。家庭で飼われている動物の歯周病については、アメリカでは3歳以上の犬の85%が歯周病に罹患しているといわれ、日本でも同様の報告があり、近年その問題性が多く議論されるようになってきています。
歯周病を放っておくと?
歯周病が進行すると、物を食べたり噛んだりした時に歯肉が傷ついて出血しやすくなります。歯垢の中にすむ細菌は歯肉の傷から血液中に入り、全身の主要臓器へ運ばれて感染症を引き起こします。特に血液が豊富に流れる肺・心臓・肝臓・腎臓などでは、重大な病気が発生しやすいといわれ、時には神経系への感染もみられます。歯が茶色い・口がくさいだけでなく、よだれが多い・歯がグラグラしている・食欲がおちてきた・元気がない、などの症状が見られた場合は、全身性疾患に移行している可能性もあり要注意です。こうなる前に何らかの処置をしてあげましょう。
歯周病の治療法は?
歯周病の治療には、まず第一に歯垢や歯石の除去が必要です。これは通常は全身麻酔下で行ないます。(1)スケーリング(削り落とし)(2)ポリッシュ(研磨)(3)フッ素塗布の順で行ないますが、歯肉と歯の隙間がかなり広がってしまっている場合にルートプレーニングという歯根部の表面のスケーリングも併せて施します。口腔内の状態によっては、抜歯や光重合・口腔内粘膜へのレーザー照射といった処置を行います。老齢のため全身麻酔下での歯石除去が難しい場合や重度歯周病を患っている場合には、歯周病の原因菌の増殖を阻止するため長期的な抗生物質の投与を行います。症状にもよりますが、通常はアモキシシリン・ドキシサイクリン・クリンダマイシンなどの抗生物質を選択します。

| (3)フッ素塗布 | <処置後> |
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歯周病の予防法は?
人間と同じように、動物の歯も常に清潔に保つ必要があります。家庭で日頃から簡単な歯のブラッシングを行なって、歯と歯肉の衛生状態を良好に保つ習慣をつけましょう。人間用の歯ブラシは動物の口の形に合っていないので、それを使うことはあまりお勧めできません。また歯みがき剤も動物用のものを使うのがベストですが、使わずにブラッシングするだけでもOKです。歯ブラシがない場合は、指にガーゼなどを巻いてこするだけでも何もしないよりはずっとずっと効果が期待できます。ブラッシングがどうしてもできない時は、ガムなどを噛ませることで機械的に歯垢を除去し、歯石の沈着を防ぐことができます。ただしガムの種類をきちんと選ばないと、効果が期待できないばかりかかえって歯肉を傷つけたりしますので、できれば専用のガムを使ってあげたいものです。
