院長のひとりごと

2017年11月29日

老犬介護の心得 6つの大切なこと

 

 

愛犬が年老いていよいよ介護が必要になった時、あなたはすべてをささげて介護に臨もうとしていませんか。

 

もちろんその気持ちは大切ですし、そうしてあげたい気持ちは痛いほどよくわかります。自分もそうでしたから。

 

でも、ちょっと待ってください。老犬介護は決して楽なことではありませんし、長く長く続く場合もあります。完璧な介護を目指して息切れしてしまっては元も子もありません。

 

ここでは老犬介護を始めるにあたって、ぜひ心にとめておいて欲しいことをお話したいと思います。

 

 

1.サインを見逃さないこと

 

健康で元気な愛犬と過ごす毎日はとても楽しいものですが、それはいつまでも変わらずに続いていくものではありません。犬は私たちが思っている以上に成長するスピードが早いことをしっかり認識しないといけません。

 

成長が早いということは、当然ながら老化のスピードも早い、ということです。

 

ものを言わない愛犬のちょっとした変化を見逃したばかりに、その後の生活が全然違ったものになってしまった、なんてことはよくある話です。

 

例えば、好きだったおもちゃに関心を示さなくなった、寝ていることが多くなった、散歩の距離が短くなった、名前を呼んでも時々気づかないことがある、などは老化のひとつのサインですが、意識して観察していないと意外とずっと後になるまで異常とは思わないことが少なくありません。

 

もしかしたら、おもちゃに関心を示さなくなったのは目が悪くなってきたからかもしれません。寝ていることが多くなったのは内蔵に問題があって疲れやすいのかもしれませんし、ホルモンの問題かもしれませんし、認知症の始まりかもしれません。

 

散歩の距離が短くなったのは骨・関節・筋・靭帯の問題かもしれませんし、心臓・肺の問題かもしれません。名前を呼んでも時々気づかなくなったのは耳が悪いのかもしれません。

こういったひとつひとつにいち早く対処することで良い老後が送れるか否か、変わってくる可能性もあるのです。

 

主治医の先生とよく相談し、中年期を過ぎたら(7歳あたりを目途に)定期的なチェックをお願いしましょう。

 

もちろん、家庭でのこまめなチェックが大事なのは言うまでもありません。

 

 

2.頑張り過ぎないこと

 

愛犬が歳をとっていよいよ介護が必要になってきた時、あなたはどう考えるでしょうか。

 

できることなら何でもしてあげたい。 この子に残された時間はもう多くはないのだから、自分のことは後回しでいい。

 

きっとこのように考えて介護に臨もうとするのではないでしょうか。

 

その気持ちは痛いほどよくわかりますし、自分もそう決意したものでした。

 

犬を飼うなら、最後まできちんと世話をすることは当然の義務ですし、それを放棄してしまうような人には犬と暮らす資格はない、と言っても過言ではないでしょう。

 

ただ、そのことが介護をする人の大きな足かせになっているのも事実です。

 

以前に比べて犬の寿命は飛躍的にのびました。 寿命が延びれば介護に必要な労力は大幅に増加します。そして一生懸命介護をしようとする人は大なり小なり皆まじめで完璧主義。

 

すべてをきっちりやってあげないと気が済まない、そういう方がほとんどです。

 

そうして「完璧な介護」を目指して、だんだん息切れしてしまうのです。
頑張り過ぎないでください。大切なのは継続なのです。

 

 

3.一人でやらないこと

 

誠実で、真面目。愛犬に対して深い愛情があり、周囲の人への気配りも欠かさない。

 

介護に悩む方は総じてこういうタイプの方ばかりですよね。

 

全部ひとりで抱え込んで、知らず知らずのうちに心身的なストレスをためこんでしまうのです。

 

自分がやらなければ誰がやるの?そんなふうに自分を追い詰めてはいけません。あなたはあなたが出来る時にしっかり介護してあげればよいのです。

 

ちょっと無理かも、そう思った時は誰かを頼ることにしましょう。誰かを頼ることはけっして恥ずかしことでもうしろめたいことでもありません。

 

ご家族、知り合い、シッターさん、ヘルパーさん、動物病院、老犬ホームなど、頼れるところはたくさんあります。思い切って、数日だけでも介護疲れから開放する日を作って気分転換するようにしましょう。

 

一人だけではうまくいかないことも、複数の人で対処すれば何とかなるはずです。

 

老犬介護は行けるところまで全力でがむしゃらに行くというものではなく、ペース配分を考えて長丁場をどう乗り切るか、そういう作戦をたててゆっくりすすめていくものなのです。

 

 

4.明るく楽しくやること

 

老犬介護は、病気の治療のようにゴールが見えているわけではなく、いつまで続くかわからない不安と焦燥でいつのまにか気持ちが落ち込んでくるのは仕方のないことです。

 

でも、いつまでも暗く沈んだ気持ちでいると、介護を受ける愛犬の気持も暗く沈んでしまいます。

 

もし、飼い主がずっと落ち込んでいたり、機嫌が悪かったりしたら、愛犬は不安で不安でたまりません。甘えることもしなくなり、気力が減退し、一気に老化がすすんでしまいかねません。

 

ワンちゃんは飼い主のことが大好きです。大好きな飼い主が明るく楽しく接してくれることが一番の喜びです。

 

愛犬の前ではなるべく明るく楽しくふるまうようにしましょう。それだけで、愛犬は幸せを感じてくれるはずです。

 

 

5.完璧思考を捨てること

 

老犬介護を考える時、真面目な人ほど、この子にはああしてあげよう、こうしてあげよう、とあらゆる限りの理想を頭の中で描いてみようとします。

 

ところが、いざ介護を始めてみると、自分の思い描いていた理想通りにはいかず、そのギャップに悩むことになるのです。

 

そして、ああしてあげなければ、こうしてあげなければ、と自分をどんどん追い込んでしまい、ついには、あれができなかった、これができなかった、と自分を責めるようになってしまうのです。

 

完璧な介護を追い求めても、それはあくまでひとりよがりでしかないことに早く気づきましょう。

 

介護をする目的はあなたと愛犬がお互いに幸せな日々を過ごすためではありませんか?

 

それなのにいつの間にか「完璧な介護をすること」が目的になっていたりしませんか?

 

完璧な介護をすれば愛犬が喜ぶはず、そう考えていたらそれは自己満足だと思われても仕方がありません。

 

時々は一歩下がって自分がやっていることを客観的に評価してみることも大切です。第三者に評価してもらう勇気があってもいいかもしれません。

 

完璧な介護を目指していると、ついつい視野が狭くなって他人の意見が耳に入らなくなります。最初から全力を尽して頑張って息切れ。これは絶対に避けなければなりません。大事なのは完璧を求めるよりも継続なのですから。

 

 

6.介護スタイルを決めないこと

 

老犬介護はこうあるべき、という決まりはありません。

 

幸せの形は飼い主さんもワンちゃんも皆それぞれ違います。本に書かれていることやネット上の情報がすべてではありません。10人いれば10通りの介護スタイルがあってしかるべきです。

 

大事なのは無理なく継続できる方法を柔軟に考えていく、ということです。

 

 

 

 

まとめ

 

老犬介護は決して楽なものではありませんが、考え方をちょっと変えたり、いろいろ工夫したりすることでうまく継続していけます。

 

頑張り過ぎないこと、一人でやらないこと、明るく楽しくやること、完璧思考を捨てること、介護スタイルを決めないこと。これらは老犬介護をするうえで大切な心得です。

 

老化のサインを見逃さないように早め早めの治療を行い、体の衰えを極力少なくしておくことは、その後の介護をやりやすいものにしてくれるでしょう。

 

 

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