コラム

2008年11月7日

20081107外陰部が腫脹しているフェレットが来院しました。

腹部触診にて膀胱の背側に柔らかい腫瘤があることが確認されました。イメージとしてはまるで膀胱が2つあるような感じです。レントゲン検査や超音波検査の結果、左の副腎が9~10mm(通常は2~4mm)くらいに大きくなっていることも判明しました。膀胱の背側にある柔らかい腫瘤は、以前に受けた避妊手術時の子宮体の切除した断端に出来た蓄膿でした。

 

この子宮断端の蓄膿(子宮断端腫)は副腎疾患の併発症として起こるもので、おそらくプロジェステロンが増加することが原因ではないかと考えられています。腫大した副腎と蓄膿部分の切除手術を行なうことでこのフェ レットの外陰部の腫脹は元に戻りました。

2008年10月20日

20081020肛門周囲には分泌腺(多くは皮脂を分泌しています)がありますが、これが腫瘤物を形成するようになったものを肛門周囲腺腫と呼びます。

去勢手術を受けていない高齢のワンちゃんによく見られます。雄のホルモンが関与していると考えられています。肛門周囲腺腫は良性のものが多いですが、中には肛門周囲腺ガンや肛門嚢アポクリン腺癌といった悪性のものが見られることもありますので注意が必要です。最初のうちは触っても痛くなく排便にも支障がないので何となく様子を見てしまいがちですが、自然に治ることはないので結局は切除手術が必要になってきます。長いこと様子を見てしまうと、腫瘤の表面に潰瘍が出来て出血したり、感染を起こして化膿したり、大きくなり過ぎて排便困難になったりします。

 

そうなると手術そのものが非常に難しくなってしまいますので、やはり早期(小さいうち)に切除してしまうべきでしょう。写真のワンちゃんのように腫瘤があまりにも大きい場合は、まず去勢手術を施して腫瘤が少し小さくなるのを待ってから切除するといった考え方もあります。猫ちゃんには肛門周囲腺がないのでこの病気は起こりません。

2008年9月30日

20080930数日前から食欲がなく元気もないというウサギさんが来院しました。

聴診で胃腸の蠕動音がほとんど聞こえません。触診では胃の中にかなりの内容物が存在しているのがわかりました。レントゲンを撮ってみると食帯を起こして膨大した胃が認められました。逆に盲腸内には内容物があまり見られません。

 

ウサギの消化器疾患、特に胃食帯は比較的よくみられる疾患です。通常は血液検査で脱水傾向以外大きな問題が見られないことが多く、輸液を主体に、胃腸運動を活性化させる 薬(メトクロプラミドやモサプリド)、食欲を増進させる薬(シプロヘプタジン)、H2ブロッカーなどを使って治療していきます。状況によりこれに流動食の強制給餌などを組み合わせていくこともあります。胃内容物が動き始め、排便量が増えればOKです。ところが、このウサギさんは内科治療に全く反応せず、胃内容物が頑として動かなかったのです。こういったケースでは胃内容物のほとんどが毛球であることが多く、胃切開手術が必要になります。

手術で大量の毛球を取り出したこのウサギさんはすっかり元気になりました。

2008年9月16日

20080913耳と鼻のあたまにかさぶたを伴った赤いボツボツが出来てしまった猫が来院しました。かなり痒そうです。

聞くところによると夏場は毎年このようになってしまうとのこと。生検の結果、「好酸球性プラーク」と診断されました。「好酸球」というのは血液の中の白血球の一種で、主に寄生虫などから体を守る役割を持っており、さらにはアレルギー反応の起きている場所へ急行するという任務も担っています。

 

猫ではこの好酸球が皮膚に集まって特徴的な病変を作ります。そのひとつがこの好酸球性プラークです。

「プラーク」とは脱毛して湿った,平らにやや盛り上がった広い部分で丘のようなもので、つまりかさぶたを伴った赤いボツボツができてしまった丘疹が好酸球性プラークです。通常は副腎皮質ホルモンを投与すると良くなるのですが、アレルギーの原因を取り除かないと再発してしまいます。この猫も何回か再発を繰り返しました。聞くところによるとしょっちゅう屋外へ脱走してしまうとのこと。 夏場に発症することから、蚊によるアレルギーの可能性を考えて(ノミは予防済みなので)、脱走されないようにして室内のみで蚊を遠ざけて管理して貰ったところ、すっかりきれいに治りました。

2008年8月28日

20080828腫瘍マーカーとは、ガンの進行とともに増加する生体因子のことで、主に血液中に遊離してくる因子を抗体を使用して検出する臨床検査のうちのひとつです。

人間の医療においては多種多様の腫瘍マーカーがあり、ガンの早期発見や治療後の経過確認などに幅広く使用されています。

しかしながら獣医療においては有用な腫瘍マーカーが無く、ガン医療に関しては残念ながら人医療に大きく遅れをとっているのが現状です。何とか有用な腫瘍マーカーの検査が確立されないものかと願っていたところ、(株)日本ペットライフから画期的な腫瘍検査の方法が発表されました。

 

腫瘍細胞が悪性転化する時に、腫瘍マーカーとしてアミノ酸類(フェニルアラニン・チロジン・水酸基のプロリン)、糖鎖を構成する単糖類(N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-アセチルノイラミン酸、N-グリコリルノイラミン酸)、糖蛋白質(α1-酸性糖蛋白質) などがごくわずかですが増加します。

これら複数の微量増加する腫瘍マーカーのトータル量を換算して悪性腫瘍の発症確認を行なうというものです(TSGF法)。発症部位の特定は行なえませんが、悪性腫瘍の早期発見検査として、更に良性・悪性の判別補助および転移・再発の診断補助として有効な検査と思われます。

少量の血液を採取するだけでOKです。詳しくは当院スタッフにおたずね下さい。